極北の壮大な自然と、その中で生きてきた先住民の人々、そしてたくましく道を切り開いてきた開拓者たち。
こうしたユーコン独自の環境や文化に触れる事ができる場所が、準州内6カ所にある国立公園や国定史跡です。
カナダが誇るこれらの特別なエリアについてご紹介しましょう。
パークス・カナダが守る自然と文化
カナダには現在、47カ所の国立公園、171カ所の国定史跡があり、カナダ環境省内の「パークス・カナダ(Parks Canada)」によって運営・管理が行われています。パークス・カナダは、1911年に世界で初めての国立公園管理組織として誕生。公園・史跡内の自然・文化の保護や生態系維持などに務め、同時にリクリエーションなどを通じて、そこに保たれてきた環境や文化・歴史の重要性などへの公共の理解を育み、次世代へとつなげることを使命としています。つまり単に規制して守るのではなく、前向きに利用提供をすることで人々の意識を高めようというのが、基本的な考え方です。
ユーコン準州内には現在、3つの国立公園と3つの国定史跡があります。国立公園に関しては、とくに先住民とその自然地帯との強い関わりを認識し、その事実に敬意を払って設立されています。このため、先住民団体と共に自然保護活動を行うなど、協力関係の中で運営に取り組んでいるのも大きな特徴です。
パークス・カナダ(Parks Canada)のウェブサイトはコチラ
カナダの国立公園 in the Yukon
5000m級の山々と壮大な氷河。圧倒的な自然に出会うクルアニ国立公園 Kluane National Park and Reserve
ユーコンで最も有名で、多くの旅行者が訪れる国立公園がここです。隣接するブリティッシュ・コロンビア州やアラスカの山岳地帯と共にユネスコの世界遺産にも登録されている大自然地帯。カナダ最高峰のマウント・ローガン(標高5,959m)や、極地以外で世界最大の氷原を有し、グリズリーベアなど野生動物の宝庫ともなっています。壮大な風景の中でのハイキングをはじめ、ダイナミックなアウトドア体験ができる場所としても人気。現在、公園内の天然資源や文化財に関しては、地元複数の先住民部族団体とパークス・カナダが共同で管理にあたっています。
[公園内でのおすすめ体験]
- ・ビジターセンターの訪問
- ・キャスリーン・レイクのデイキャンプ
- ・ロック・グレーシャー・トレイルほか、バリエーション豊富なコースで楽しめるハイキング
- ・麓を走るアラスカ・ハイウェイ、ヘインズ・ロードのハイキング
- ・ヘインズ・ジャンクションなどからの遊覧飛行ツアー
数十万頭のカリブーが大移動! 北極海沿岸の冒険ワールドイバビック国立公園 Ivvavik National Park
北極海の一部、ボーフォート海に面して広がる大自然地帯。春には、数十万頭のカリブーの群れが出産と子育てのため北へ向かって大移動する事で知られ、この現象から「イバビック」(イヌイット語で「育てる場所」の意味)と名付けられました。国立公園は、先住民の権利などを守る協定によって1984年に設立され、地元先住民イヌビアルイット(ボーフォート海沿岸に住むイヌイットの人々)もこの公園の運営に参加しています。公園へのアクセス方法は、ノースウエスト準州イヌビックからのチャーターフライトのみとなっています。
[公園内でのおすすめ体験]
- ・ファース・リバーでのラフティング
- ・パークス・カナダ運営のイバビック・ベース・キャンプ滞在
先住民の伝統的な暮らしが守られる手つかずの大自然ブンタット国立公園 Vuntut National Park
整備された施設などは一切なく、訪れる旅行者もほとんどいないという、究極の自然地帯がブンタット国立公園。春と秋、この地はカリブーの大移動のルートとなっており、この地の先住民はカリブーを中心に野生動物の狩猟を生活の糧として暮らしてきました。1995年、その自然と人々のライフスタイルを守る事を目的にこの国立公園が設立され、パークス・カナダと地元の先住民団体などが共同で公園運営を行っています。
公園内に入るには様々な許可が必要で、かなりハードルが高くなりますが、入り口の集落オールド・クロウには、この地の人々の文化、カリブーの大移動やブンタット国立公園に関して紹介する「ジョン・ティジャ・センター」があり、見学が可能です。またパークス・カナダのオフィスも併設しています。
[公園内でのおすすめ体験]
- ・オールド・クロウの訪問(公園外)
カナダの国定史跡 in the Yukon
ゴールドラッシュの歴史を留める伝説的ルートチルクート・トレイル Chilkoot Trail National Historic Site
チルクート・トレイルは、古くは先住民トリンギット族によって、そして19世紀後半にはゴールドラッシュで押し寄せた人々によって開かれてきた山越えのルートです。ゴールドラッシュ時、金を求める人々は、カリフォルニアから船に乗って北上。まずアラスカの港町、スキャグウェイに上陸し、その後大きな荷物を背負って標高1,000mの峠を超え、ユーコンへと入っていきました。一攫千金を狙う人々がまるで蟻の行列のように連なって山を登る様子は、当時大きなニュースに。
現在は、アラスカのダイーイからブリティッシュ・コロンビア州のベネットまでの53kmが、カナダ、アメリカ両国の国定史跡として保護され、ゴールドラッシュの歴史を留める伝説的なハイキングルートとしても人気となっています。ベネットへは道路はなく、ユーコン準州カークロスなどから観光列車「ホワイト・パス&ユーコン・ルート」でアクセスが可能です。
[史跡内でのおすすめ体験]
- ・チルクート・トレイルのハイキング
ユーコン川の物資輸送に活躍した歴史的リバーボートS.S.クロンダイク号 S.S. Klondike National Historic Site
ゴールドラッシュの時代にタイムスリップクロンダイク国定史跡群 Klondike National Historic Sites
ドーソン・シティの中心街には、ゴールドラッシュに沸く1898年当時の街並みが残され、タイムスリップしたような気分で歴史散策を満喫することができます。華やかな劇場、有名な詩人や作家が暮らしたログキャビン、古い船尾外輪船、そして実際に金を掘り出していた「ゴールド・フィールド」など、熱狂的に盛り上がった時代を彷彿とさせるユニークなスポットが目白押し。夏期には、当時の衣装を着たガイドと一緒に街歩きを楽しむウォーキングツアーも大人気です。
[史跡内でのおすすめ体験]
- ・ドーソン・シティのタウンガイドツアーに参加
- ・ドレッジ#4の見学
- ・S.S.キノでのガイドツアー
- ・「ゴールド・フィールド」の探索